自賠責保険の請求にあたっては,事故の責任を負うものの「他人」でなければ賠償請求ができないと聞きました。ここでいう「他人」とはどういう意味でしょうか。

Q 自賠責保険の請求にあたっては,事故の責任を負うものの「他人」でなければ賠償請求ができないと聞きました。ここでいう「他人」とはどういう意味でしょうか。

A 自賠法3条は,自己のために自動車を運行の用に供する者(「運行供用者」の意味については3.029を参照)は,その運行によって「他人」の生命または身体を害したときは,これによって生じた損害を賠償しなければならないと定めています。

ここでの「他人」とは,第一義的には「運行供用者」以外の者とされていますが,その範囲は各事案において個別に判断されています。

加害車両に関し,同時に複数の「運行供用者」が存在する場合,被害者となった運行供用者が他の運行供用者との関係では「他人」にあたるのではないかという問題が生じ,この点について以下の判例があります。

① 最高裁判例昭和50年11月4日民集29・10・1501

取締役AがB会社所有の自動車を私用に用い,同乗の従業員Cに一時運転を交代してもらって同乗中に従業員Cが起こした事故で重傷を負った事案(車両所有者のB会社と,自動車を従業員Cに運転させていた取締役Aの両方が運行供用者にあたるため,取締役AがB会社との関係で「他人」といえるかが争点)。

➡B会社の運行支配は「間接的・潜在的・抽象的」であるのに対し,自ら車両を自分のための運行に利用してた被害者Aははるかに「直接的・顕在的・具体的」に運行を支配していたとして,被害者Aは,B会社との関係で他人にあたらないと判断しました。

車両の運行支配の程度がより高い(直接的・顕在的・具体的)者は,低い(間接的・潜在的・抽象的)者に対して他人性を主張できないことになります。

② 最高裁判例昭和57年11月26日民集36・11・2318「青砥判決」

 自動車所有者Dが,友人らと飲酒のために自動車を走行させ,飲酒後,友人宅で飲み直すつもりの友人Eに運転を委ねて,自らは電車で帰宅するため後部座席に同乗し途中の青砥駅で下車を予定していたところ,友人Eがカードレールに激突しDが死亡した事案(車両所有者Dと運転者Eの双方が運行供用者にあたるため,Dが運転者Eとの関係で「他人」といえるかが争点)。

➡Dは友人の帰宅目的で自動車を提供しており,D自身に運行利益があり単なる便乗者ではないうえ,Dは運転者Eに対して運転交代を求めたり指示を与えることのできる立場にあった以上(特段,運転者EがDの指示に従わなかったなどの事情がない限り),本件自動車の運行に対するDの支配は運転者Eの支配の程度に優るとも劣らない。この場合,Dは運転者Eとの関係で他人ということはできないと判断しました。

 運行支配の程度が同程度の(優るとも劣らない)場合には,被害者である運行供用者は他方との関係で自賠法上の「他人」にあたらないことになります。


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